漁業資源管理についてディスカッションする参加者=米田堅持撮影
日本漁業の資源管理を考えるシンポジウム「これからも魚を食べたい人、集まれ! 漁業と食卓を結ぶ資源管理」が14日、東京都内で開かれた。全国の水産関連26団体で構成する「海の幸に感謝する会」と、漁業者と消費者をつなぐ活動を展開する「ウーマンズフォーラム魚(WFF)」が主催したもので、資源管理を実践している漁業者らに与えられる「マリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)」に、甲殻類、貝類、魚類の3種類がそろったことを受けて開かれた。
MELジャパンとは、資源と生態系の保護に積極的に取り組んでいる漁業を認証し、その製品に水産エコラベルをつける制度。社団法人「大日本水産会」に事務局を置き、2007年12月に発足した。審査はFAO(国連食糧農業機関)の水産エコラベル・ガイドラインに従い、申請のあった漁業者や水産加工業者などを対象に認定している。これまで「日本海かにかご漁業協会」(鳥取県境港市)のベニズワイガニ漁、十三漁業協同組合(青森県五所川原市)の十三湖シジミ漁、由比漁業協同組合(静岡市)と大井川港漁業協同組合(静岡県焼津市)のサクラエビ2そう船びき網漁が取得、今年3月に魚類では初となる愛知県しらす・いかなご船びき網連合会(愛知県知多郡)のいかなご船びき網漁が加わった。
「マリン・エコラベル・ジャパン」のマーク
シンポジウムではまず、十三漁業協同組合の代表者と、愛知県しらす・いかなご船びき網連合会と連携して「MELジャパン」を推進する師崎(もろさき)商工会の代表者が、それぞれの取り組みを紹介。十三漁業協同組合では十三湖のシジミを守るために、水源となる岩木川の清掃や禁漁区の設置などを積極的に行い、トレーサビリティー(履歴管理)を採用する一方で、「消費者には活動や制度がまったく伝わっていないのが現状」と問題点も提示した。また愛知県しらす・いかなご船びき網連合会は、県水産試験場と共同で駿河湾、三河湾のイカナゴの資源管理を実施。試験場の研究結果を参考に、解禁、終了日の決定や、産卵場がある区域を禁漁区に指定し親魚の保護に取り組んでいることなどが紹介された。
続いて国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長のあん・まくどなるどさんが「次の世代を考えてきた人たち」との題で講演。石川県に残されている「揚げ浜式製塩法」が気候変動の影響を受け、屋外から屋内へその製法が変化していることや、海女さんの共同体生活が、シンプルでありながら、漁業資源を管理する重要な手法になっていることなどを紹介した。
またパネルディスカッションでは、師崎商工会の代表者が、漁業者だけでなく、商工会などの協力で、加工品などもMELジャパンの認証を積極的に受けるようにしていかなければいけないと提言。櫻本和美・東京海洋大学教授は、資源管理を実行できるのは研究者ではなく、漁業者。水産理論はたくさんあるが、資源管理は漁場や魚種によって個々に異なり、一つとして同じものはないと強調した。こうした提言を受け、参加者はMELジャパンの認知度を高めることで一致、消費者に広く認知されるように活動を推進していくことを確認した。【江刺弘子】